最近はChatGPTネタばかりですが、AI時代のWeb解析についてじっくり考えてみました。
今カウントリードでは、自社のGoogleAnalyticsの解析ツールをChatGPTと接続し、Webアクセス解析をさせるという取り組み(ChatGPTプラグイン開発中)を行なっています。
そもそもなぜこんなことをし始めたかというと、Web解析の会社を経営している私がいうのもどうかと思いますが、「かなり質の良いWebコンサルティングを多くの人たちに届けられる」と思ったからです。
定量データと定性データの結び付けは人間しかできないと考えていた。
というのも、これまでChatGPTほどの高性能なAIがない時代は「定量データ(アクセス解析データ)を、定性データ(事業においてそのサイトが担っている役割やサイトの目的、ページの役割など)と紐づけて分析するのは人間でないと難しい」と考えていました。
そのためWebコンサルタントやマーケッターがクライアントの事業を把握し、Webに精通しているその知識を持って、いかに課題を抽出し、改善案を提案できるか?といういわば「事業とWebサイトの橋渡し」をする必要がありました。
そのために、アクセス解析データと睨めっこして、「このメディアからの直帰率が高いな。なんでだろう」とか、「なんでこの製品ページだけ異常にスクロール率が高いんだろう」など、多くの時間を使い、レポート集計から集計された数値とページの性質や事業の性質との紐付けを行い、そのコンサルタントなりの経験から課題や改善点を提案していました。
弊社がWeb解析ツールを独自で開発しているのは、少なくとも定量データである「数値の集計」と「レポートの出力」はシステムに任せて、定性データとの紐付けに人間が使える時間を増やそうという発想でした。
ChatGPTの登場で、人間しかできないと思っていた領域も任せられるように
これまでは下記の考え方でした。
- アクセスデータの集計(システムでできる)
- レポート作成(システムでできる)
- 定性データを紐づけた分析、考察(人間しかできない)
- 課題の抽出(人間しかできない)
- 改善提案(人間しかできない)
カウントリードでは、1.2.をできるだけ自動化し、できるだけ多くの人に手頃な価格帯で価値のあるWeb分析を提供したいと考えて取り組んできました。
しかし、その考えはAI時代の到来でさらに進化してして、現在は下記だと考えています。
- アクセスデータの集計(システムでできる)
- レポート作成(システムでできる)
- 定性データを紐づけた分析、考察(必要な情報を与えればAIでできる)
- 課題の抽出(必要な情報を与えればAIでできる)
- 改善提案(必要な情報を与えればAIでできる)
ランディングページ分析の例
上記の「3.定性データを紐づけた分析、考察(必要な情報を与えればAIでできる)」という部分以降が、これまでシステムには難しいと思っていた部分です。
これまではせいぜいシステムでやれるのは、下記のような数値の集計までだと思っていました。
システムが集計してくれた数値情報をもとに人間が考察を行う流れでした。
定性データも理解できるChatGPTはセクションの意味すらも想定できる
ChatGPTに少し命令を与えて2つ目のテーブルに各セクションの「到達率」「離脱率」の列を加えてもらいました。
その上で、考察をしてもらいました。
定性データを持たせたChatGPTの考察結果にびっくり
以下が考察結果です。
うん、各セクションが何を示しているかを、セクションタイトルから推察して考察されている。。
全てを鵜呑みにするわけではないにしろ、的外れではないし比較的的確な考察と改善案だとおもいます。
数値データ以外の定性データをいかにChatGPTに引き渡すかが重要
今回はランディングページを想定し、「各セクションのスクロールイベント」を引き渡しましたが、例えば下記のような情報も一緒に引き渡すことでより深い考察、課題抽出、改善提案ができるようになると考えています。
引き渡すとよさそうな定性データ
- スクロール値(今回の検証)
- 各セクションの意味(今回の検証)
- ボタンのクリックと各ボタンの文言
- ページがどんな意味をなすページか?(今回で言うとGTMの設定代行をしていると言う情報) など
これらの情報を与えることで、より高度で深い考察ができるようになると考えています。
人間が数値を見なくても良い時代になるのでは?
先ほども挙げましたが、鵜呑みにするわけではないですが、数値の集計はもちろん、ロジックで大きく外れることのない課題抽出、改善提案をしてもらい、人間はそれを受け取って、時間をより有効に使いスピーディーな改善サイクルを回せるようになると思います。
そうなると、根拠としての数字は欲しいですが、人間が直接Web解析の数字を見ることなく、将来は下記のようなイメージになるんじゃないでしょうか?
筆者の将来のWeb解析イメージ
ユーザー:「来月のサイトの売り上げ、1.5倍くらいにしたい」
(この間の数値解析や課題抽出を自動化)
AI:「それでは、ここのサービスにInstagram広告を12万円予算で新規発注してください、また、このページのセクションの順番はこのように変えてください・・・・」
AI:「この結果の売り上げ予測値はXX万円で、利益率は0.4%減少しますが、前月の1.52倍の売り上げとなるでしょう」
ユーザー:「ありがとう、これは発注するからお問い合わせ投げておいてもらえる?ページのセクションについては・・・・」
AI:「かしこまりました」
なんてことに技術的にはもう実現できるところまできていると思います。
こうみると、人間は何をやるの?と思ってしまう節もありますが、とてつもなく優秀な補佐役がいることで、より社会に有益なことや必要なものを届けることに注力できるのではないでしょうか?
マトリックスの世界ではないですが、もちろんAIの成長に怖さがないかと言われると完全にNoではないと思います。
しかし、人類が生み出したAIが人類のためになるものになることを願いつつ、われわれはWeb解析会社として、皆様に今まで以上に便利で価値のあるサービスを開発を進めていきたいと思います。
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